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ひと・品(しな)を求めて
ニヤマ安倍商店から名前を変えて三年経ち、ようやく「この先も続けていけるかな」と希望が見えてきたところかな。
もともとは、スケソウが原料のすきみ、そぼろを主に製造してました。燻製も、じいさんが秋田から釧路に移った九十年ほど前から作り始め、代々続いてます。
26歳のときに帰郷し、おやじの手伝いの暇を見て燻製の商品開発を始めました。最初は、紅ザケのスモークサーモン。市内のオーナーシェフ・安藤憲四郎さん(レストランあんどう)が気に入ってくれ、今も定番商品として店に置いてもらっています。その後もマス、イカ、ホタテ、タコ、サバなどの開発改良を重ねました。ほとんど趣味の世界ですね。
8年前ほど前かな、スケソウの減少で主力のすきみ、そぼろが生産できなくなった。年々生産が落ち、今までの利益を食いつぶす状態が続いていたのですが、そぼろは永遠不滅で、まさか原料がなくなるとは思ってもいなかったですよ。
転換を迫られたとき、所有している設備で生産できるのは燻製だけ。比較的付加価値が高かったこともあり、作り続けることを決めました。フューモアールは、フランス語で燻製室の意味。「オレは燻製屋で生きていくぞ」という気持ちの表れでした。
海産まつりには第2回から出店してますが、実は、新しい名前に切り替えた途端お客が来なくなった(笑)。「ニヤマ」は、じいさんのときから親しまれてきた屋号だからね。今は、両方の名前を出しています。
(第1回1999.04.27)
<プロフィール> 昭和28年釧路生まれ。中学時代まで紋別で育つ。早稲田大仏文科卒。昭和54年、祖父の代から続くニヤマ安倍商店を継ぐため紋別へ帰郷。平成八年から現社名。「代表取締役職人」を名乗り現在に至る。
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