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これまでと製法を変えて、化学調味料、食品添加物を使わない自然な味になった。自分ではいいと思っていても、最初は受け入れられるか半信半疑でしたね。
もともと、問屋さんにどかっと商品を卸すような商売じゃなく、直売がほとんどでした。だから、せっかくいいものを作っても、昔からのお客さん以外には売れなかった。
そこで考えたのがギフトへの対応です。旭川のマルカツデパートに取り扱ってもらったり、お客さんにダイレクトメールを出しました。市内にチラシを配ったら「そんな店があるなんて知らなかった」という反応もありました。モノが「売れない」ではなく「知らない」ということだったんです。
おかげで、徐々にうちの燻製が注目されだしました。また、セットで商品を提案することで、逆に単品で置いてくれる店も出てきて相乗効果を生みました。
そのころからモノづくりの仲間などをたどって、いろんなところへ顔を出すようになりました。それまで、工場にしかいなかったお手伝い職人の私ですが、暇なときには帯広や鳥取、山形へ出かけるようになりました。人との信頼関係が出来るにつれ、商品も動き出しました。
そうして知り合った帯広・六花亭の小田豊社長からは、商品を企画し、販売することを学びました。六花亭は何百種類ものお菓子を扱っているけど、モノがいいからといって黙っていては売れない。値段の付け方、売り方など総合した商品づくりをしなければ、決して買ってもらえないのです。
うちのギフトの箱には、もらった人が喜んでもらえるようにと、自作の詩を書き入れています。燻製を作る過程や思いをつづったのですが、これがものすごい反響でした。
今のお客さんは、単にモノを買えればいいだけでなく、作り手の思いを共有したくなってきている。大げさにいえば、作り手の物語を知ることで、自分たちもモノづくりに参加している気分になっているのではと思います。
(第3回1999.04.29)
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