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「代表取締役職人」という肩書きは、どこでもおもしろがられますね。ものづくりと経営者、一人で何でもしなきゃいけない。そんな自分を言い表すにはこれしかないと思っています。
地元の原料を使う、自分の手で加工する、自分で売り先を探す。これをこの3年間徹底してきました。そこにインターネットなどの新しい媒体やメディア、雑誌がからんできた。売り上げを伸ばすためにたい肥を2年間やって、やっと芽が出た感じです。
燻製づくりを今のやり方にするとき、家でも食品添加物、化学調味料を抜いた食生活にしました。最初はおいしくないと感じたのですが、半年ぐらいやって素材のうまさを感じるようになった。質素になって、逆に豊かなものが見えてきたんです。
世の中は、だんだん味が強くなる方向へ向かっているけど、ここにきて「ついていけない」「飽きた」という人が出てきた。”味覚のバブル”がはじけたんです。 そういう人たちがうちの燻製にも注目していると思うんですよ。
「燻製イコール珍味」というイメージも変えたいですね。そのまま食べるだけじゃなく、料理の素材にしてもおいしいんです。燻製って本当に知られていない。市民権を確立したいです。 我々ものづくりは、30、50、100年後を考えて、次の世代に伝承していくものをしっかり作らないといけない。単にお金を残すのではなく、ものづくりの考え方を残すことが大事だと思います。
幸い、紋別には海、農産物がある。農家は困るでしょうが、冷涼な気候も雑菌が増えず食品加工にはいい。農家もチーズなんかやればおもしろいですよ。 紋別の地域特性にあった本物の食品をつくる集まりができればいいですね。名前は、一品と、人と品をかけて「ひと・しなの会」。条件は、紋別産の原料を使用する、無添加、ごまかさない、100人中50人がおいしいと感じる、自社で作る、の5点。おいしくいいものを作ろうという気持ちで100人が100種類のものを作れば、すごい紋別のパワーになりますよ。
市食品加工センターがもうすぐオープンしますが、新しい人のつながり、新しい品を作る環境ができてほしい。燻製のことに興味がある人は何でも教えてあげますよ。遠慮なく訪ねて下さい。
=おわり=
(第5回1999.05.01)
>> ひと・品(しな)を求めて